写真撮影:2012.05.20
佐渡島南端にある岬を沢崎鼻と言います。小木半島沿岸部は豊かな岩礁を持つ風光明媚な土地です。それらを風景として見るのももちろん良いのですが、地形について少しの知識なんかがありますとまた楽しいものです。しばしの間地理佐渡と歩いてみましょう。
Photo-01 沢崎鼻灯台
Photo-02
海岸段丘の発達顕著な小木半島です。階段状の地形を下る坂道から灯台を望みます。地形的にはこの道は段丘崖(だんきゅうがい)に位置するもので、灯台のあるわずかな平坦面が段丘面となります。
Photo-03 灯台、海食崖、ベンチ
灯台のある岬の切り立った崖が美しいです。この崖は海の浸食による海食崖(かいしょくがい)と呼ぶのが適当です。また、崖右側の平坦な岩場は海食台(波食棚)がやや隆起したものと言えましょう。こういうものを隆起海食台などと言っています。この地域ではここで冬季に育つ岩のりが貴重な収入源となっています。
Photo-04 ノッチと隆起したベンチ
釣り人達が立っている岩場は以前海面下にあった平坦面です。このようなものを海食台と言いますが、かつて水面下であったこの面は、今は隆起によって明らかに陸となっています。そして、その背後の岩の下部にへこみが確認されます。波が崖を削って窪みを生じさせたものです。それをノッチと言います。小木半島沿岸部ではしばしば見かける地形です。
Photo-05 ポットホールとノッチ
Photo-06 ポットホールをズームしました。
潮間帯にある海食台(波食棚)では進行形。写真の様にそれが隆起しますと荒波がよせてくる時だけに限られますが、ちょっとした窪地に小石や小岩などがあると、波の作用で岩場にきれいな穴が生じます。これらは波食甌穴(はしょくおうけつ)と言っていますが、ポットホールとも言います。
Photo-07 ポットホール
Photo-08 大佐渡の平根崎にもすばらしい甌穴群があります。
Photo-09 小型のポットホールです。
Photo-10 ノッチ。かつて直接波がここを洗い、窪みを生じさせたのです。
【参考サイトと用語】
http://www1.gsi.go.jp/geowww/typical/marine.html#anchor164941
国土地理院/海の作用による地形
上記参考サイトからの引用です。
【海食崖】
波食崖ともいう。海に面した山地や台地の前面で主に波食作用によってできた崖。
【波食棚】
波食台、ベンチ、潮間帯ベンチ、あるいは海食棚ともいう。主として潮間帯にある平滑な岩床面をいう。海食崖の下部にある波食窪から沖側にわずかに傾く非常に水平な面で、その沖側末端には小崖がある。
【ノッチ】
波食窪、海食窪ともいう。波の侵食作用や海水の溶食作用によって、海食崖の下部の海水準のレベル付近に切り込まれた微地形で、高さに比べて幅が大きいものをいう。
【甌穴群(ポットホール)】
波食棚の表面やその海側の斜面にみられる円形の深い穴あるいはその群。
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写真撮影:2012.05.20
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2012年 地理の部屋と佐渡島 sadotiri
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http://blog.goo.ne.jp/dachasnowman/
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